その願い叶えて美貴様ってことで

でまあ、ここからは私本来の30代女子吉オタ的感想ですが。
大臣と魔女ヘケートの魂の契約の歌のシーンはやっぱり良かった。鳥肌ものというか瞬きする間が無かったというか、もうそれはもう。
歌ももちろん素晴らしかったのですが、歌終わりで大臣が階段を上り、ヘケートにひざまづき寄り添って終わる。もうこの悪人ふたりの美しさ愛しさと言ったらなかった。溶けた。このふたり悪人のままデキデキになんないかなー、と何フェチだっつー私の大人の心が願っておりましたが、そこは清く正しいおとめのヅカ演出&手塚作品ですので、そうもいかずラストではふたりとも改心しちゃってある意味別々の道をいっちゃうわけで、というかアイドルに生まれ変わって清く正しく終わるわけで、悪い大人の心的には残念でした(笑)いやマジで逆にここの悪人度合いが強ければ強いほどラストの清く美しい部分が際だつと思うので、もっともっと特に吉澤さんには悪人度合いを高めていただいても物語上良いのでは、と本気で思う。そうなれば私はもう何も願うことはない。

あとなんといってもあのよっすの大臣衣装、事前に出ている白い衣装とは違う焦げ茶の衣装だったわけですが、それが良かったわ。あれなんでしたっけ、昔のドイツかイタリアかの映画の女性が将校のかっこしてる退廃的なやつ、なんだったっけ、あれなんだったっけ、思い出せない、くーーー。まあそういう退廃的なラインをいってると思うんですよ。もうあの帽子のかぶり方なんかぐっと来た。痩せ痩せでシャープなあの顔のラインに少しシャープで陰影の強い舞台メイクに将校風帽子のあの組み合わせがもうほんと美しかったのですよ、私的には。溶けた*1。ふとした悪い横顔を見せるよっすに溶けた。ああああ、よっすぃもっと‥‥っていっても本来この大臣の役どころは、息子を溺愛しているちょっと親馬鹿でやりすぎちゃっただけの父親の役なんで、そこまでやらなくてもいいんですかね。いや親馬鹿ってだけで、毒殺をたくらんだり、自白剤飲ましたり、ってないよね。だったら。いーひっひっ、もうもっと悪く、サファイアとかフランツとかくっちゃえよ。大臣が主役だってくらいやっちゃえよ。木村さんも主役をくっていいって言ってたやん。遠慮なんかしないでもっとやっちゃえよ、子供達が怖がって泣き出すくらい悪い感じにやっちゃえよ、魔女とふたりで観てる人をもっともっと悪の世界にひきずりこんじゃえよ、と、私はいーひっひっと悪魔になってよっすの耳元でささやきたくてしょうがないのでした。魂を悪魔に売り渡して美しく悲しい歌を紡ぎ続ける天才、ファントムオブパラダイスの怪人のように、哀れで美しい大臣吉澤を!なんて、そんなまあ勝手な個人的趣味による願いをいだきながらよっすぃに釘付けになっておったのでした。

あとまた何フェチだって細かいことを書きますが、よっすが、素敵な将校姿(勝手に将校となっている。ただ本当に重ねて書きますが将校とか軍隊ものが好きなわけではない)の大臣が、あの高いブーツのかかとをカツカツと鳴らしながら退場するわけですが、長い話を2時間ちょっとの台本にまとめているからでしょうけども、なんとも情感少なく軽い足音で足早に時間を遅らせまいとしているかのように退場していくわけですが、そこはあなた、もっとえらそうにエロティックに情感たっぷりに大きな歩幅で靴音響かせ退場していただきたかったわー。せめて、藤本さんの魔女が情感たっぷりに登場してくる、あれくらいに、登場してくるところだけでも、靴音を優雅に響かせ悪の匂いをふりまいて欲しかったわー。そうでも吉オタですので、舞台袖からもしくは暗闇から聞こえてくる靴音から、よっすの靴音を聞き分け、あ、大臣来るぜと登場のたびにわくわくしていたのですが、もっともっと、あの靴音を丁寧に響かせるだけでも大臣の芝居がより悪く素晴らしくなるのではないかと、そう思うのでした。

そんなことを書いていますが、じゅうぶん素晴らしかったです。大臣と魔女のあのシーンがあったからこそ(そして魔女!サファイアの女の魂を奪い、そしてフランツ王子にかなわぬ愛情を注ぐ藤本魔女ヘケートの圧倒的な(少しエコーがきつめはご愛敬の)歌と表情!があったからこそ)、最後に魔女がサファイアを助けるシーンで出演者みんながサファイアの生還を喜ぶ中、最愛の息子(月島きらり)に払いのけられがっくりうなだれる大臣の寂しげな様子に涙が出そうになりました。実は中盤大臣がちょっと素直に憎くて、そんなよっすを憎く思う私の心が不憫で仕方なかったりもしたのですが、もう終盤大臣が愛らしくて仕方がなかった。そして大臣は神様?だっけ、えびらさん(たからづかの男役の人)だっけいやマルシアだっけかにひざまづいて許しを乞い、許されるという芝居が、サファイア生還を素直に喜ぶ大団円の舞台の後方でひっそりと行われるわけですが、許しを乞う相手が、劇中でも役者的にもこのプロダクションに置いて圧倒的な存在であるプロの大人である、というところが、救われるというか吉澤好きとしては大満足というかその扱いが嬉しかったりした。

でも歌的にはちょっとよっすの高音がまだ出きってないどころか意識しすぎてとんでもない裏返り方してたりして、心配で仕方がない部分もありましたが、まだ3週間近くあるわけで、修正がかけられていくことでしょうから、次回私が2週間後に観劇する際にはまた新たな大臣の姿が観れるのかもしれないなーと思っちょります。どうか木村さん、よっすの潜在能力はまだあると勝手に思ってますので、ご指導ご鞭撻のほどを何卒。

あと、藤本魔女ヘケートにやられまくっておりまして。「その願い叶えよう」魔女ヘケートの台詞とか。翌日、どういう話の流れか忘れましたけど、どうでしたっけ、ソフトクリーム食べたいなーと誰かがいったら、両手を広げて「その願い叶えよう」みたいな、そんなヘケート遊びを楽しんだ私でした。わはは。

*1:といっても戦争礼賛とか軍服好きとかそういう趣味や思考は全くありませんので、念のため。